オークマ工塗ブログ [WEB LOG]

ちぢみ塗装は量産向き?一点物向き?現場で試してみた(珍しいクリアのちぢみ塗料で実験)

こんにちわ。

塗装吹付担当の中川です。

オークマ工塗で約7年ほど塗装の職人として一日吹付作業に従事しています。

 

当社スローガンのチェンジ&チャレンジ を モットーに、

自社にしかできない塗装の追求をしたいと思ってまして、

前から気になっていたちぢみ塗装にチャレンジしてみました。

 

※ちぢみ塗装(縮み塗料)とは、
塗装後の乾燥・硬化過程で、塗膜が意図的に縮むことで「シワ(ちぢみ模様)」を発生させる特殊塗料をつかった塗装のことです。

シワシワ した独特の質感・ランダム性のある模様で

工業製品らしさ+レトロ感・無骨感が魅力的な仕上がりになります。

 

AIでちぢみ塗料を調べてみた

それを受けて僕なりの意見を青文字で書いてます。

 

仕組み(なぜ縮む?)

塗料中の

・溶剤の揮発速度

・樹脂の収縮率

・塗膜の厚み差

これらのバランスによって、
乾燥中に表面が引っ張られ → 自然にシワが寄る ことで模様が生まれます。

要は、熱の力を使ってを縮むということです。

ちなみにメーカー曰く、塗膜の表面と中心の乾燥温度の違いを作って模様を出してるそうです。

 

ちぢみ塗料のメリット

① 傷・ムラが目立ちにくい

  • 表面が凹凸なので、擦り傷や指紋が分かりにくい

傷やゴミが目立ちにくいのは大きなメリットです。

その分ゴミ不良率も減りますし、縮んで焼しめてるからなのか?塗膜が強い感じもしました。

ムラに関しては、(個人的感想になりますが)目立ちにくいというのは違うと思います。

実際にやってみて、ムラはかなり感じました。(どこまでの品質を求めるか人それぞれ違うと思うので個人的感想になりますが…)

膜厚を均一でないと、縮みの模様ぐわいが変わってきますし、(かなり繊細に)

おそらく塗装対象物の形が複雑な場合はより

熱のかかりやすいところ、かかりにくいところで模様が変わる気がします。

正直、同じ規格を求める量産には向いてないなというのが感想です。

ただしその分、手作り感・他とが違う感じを出したい、など差別化で1点物のオリジナルな商品には抜群に相性がいいと感じました。

あと僕は今回クリアでやったのでスリット色はまた違うのかもしれません。

クリアの使用感は後述します。

 

② 高級感・重厚感が出る

  • 光を乱反射させることでマットで高級感のある仕上がりになります。

これは実際やってみて高級感を感じました。

特に今回ブリキ板にクリア塗装で下の光沢が生きて非常にいい感じに仕上がりました。

ですが一つ問題が・・・泣

 

③ 工業×工芸の中間的表現

  • 均一すぎない

  • 「工業製品なのに表情がある」

よくも悪くも不規則に動く模様なので、全く同じものはできません。

ですが工夫によっては限りなく近くすることは時間と手間をかけてデータを取っていけば可能かもしれません。

ここは職人や塗装屋の腕やノウハウが問われるところになるかと思います。

 

よく使われる用途

  • 機械部品の外装

  • 操作パネル・制御盤

  • オーディオ機器筐体

  • レトロ家電・工具

  • 近年は インテリア・什器・照明 にも再注目

ちぢみ塗料も昔は機械部品などで使われる場面も多かったようです

ただ近年ものづくりの品質が上がっており、均一化できないという点から量産の製品で採用されることは減ってきています。

店舗什器などでは、今もよく使われるようです。

レトロブームが再燃している近年では インテリア・什器・照明 関連でも再注目されています。

 

いざ、塗装検証へ

業界では、ちぢみ塗装は再現性が低く、量産には向かないといわれています。

一方で、その不規則な模様は「一点物としての意匠性」という意味では大きな魅力があります。
今回の検証では、ちぢみ塗装は本当に量産に不向きなのか、それとも条件次第でコントロール可能なのかを現場で確認することを目的としました。

クリアのちぢみ塗料で表現できるのか?

一般的に流通しているちぢみ塗料は、黒や原色など色付きタイプが多く、
ネットや実績写真でもそうした仕上がりを目にする機会がほとんどです。

以前、グラデーション塗装の上にちぢみ模様が重なった、非常に意匠性の高い仕上がりを目にしたことがあり、
「この表現は、クリアのちぢみ塗料でも再現できるのではないか?」と考えました。

(※ 今思えば、印刷による加飾だった可能性もあります)

 

☆今回の実験テーマ☆

・ちぢみ塗装は 量産に使えるのか

・それとも 一点物向きの加飾なのか

・クリアのちぢみ塗料で 下地を生かした表現は可能か

この3点を軸に、実際の塗装条件で検証を行いました。

 

———————–

 

年明け前に発注し、年明けに塗料納品。

さっそく黒の色板の上から試してみました。熱をかけて縮むようなので、120度と180度で実験してみます。

 

ちぢみ塗料 焼付塗装

ちぢみ塗料 焼付塗装

おお。縮んでる。

 

次にあえて縮み塗料の上から塗ってみます。

 

うーん。模様むらがより目立つ。。。

 

クリアのみで塗ってみます。

?! 黄変してしまった・・・。

かなりいい感じに見えますが、黄変はNGです。

・色のコントロールができない

・太陽光などで再度色が変わる可能性がある

ためです。

仕様書にも、ホワイトは黄変してアイボリーになります。と注意書きで書かれてました(泣)

黒や赤などの原色がよく使われるのはこういう理由があるんですね。

クリアだと下地を生かした加飾ができたり、色を入れてカラークリアとして使えたり、

可能性が広がると思ったのですが、残念・・・

 

せっかくなんで色々試してみました。

カラークリア仕様

 

 

 

爬虫類風塗装!(見る角度によって色が変わります)

 

模様ムラも、恐竜っぽくていい感じ!

魚風塗装

昆虫風塗装

何かに使えないかな~。

再現性の保証はできませんが汗

 

まとめ(現場検証からの結論)

今回、珍しいクリアのちぢみ塗料を用いて、
ちぢみ塗装が 量産向きか/一点物向きか を現場で検証しました。

その結果、以下のような結論に至りました。

量産適性について

膜厚や熱のかかり方によって、ちぢみ模様の出方が大きく変化する

形状が複雑な製品では、部位ごとの温度差により模様ムラが発生しやすい

同一条件であっても、完全に同じ仕上がりを再現するのは難しい

以上の点から、厳密な規格・均一性が求められる量産品には不向きと感じました。

一点物・加飾用途としての可能性

模様のランダム性は、手作り感・個体差として大きな魅力になる

傷やゴミが目立ちにくく、意匠面での許容範囲が広い

工業製品でありながら、工芸的な表情を持たせることができる

そのため、一点物製品やオリジナル性を重視した加飾用途とは非常に相性が良いと感じました。

(使用イメージ)

クリアちぢみ塗料について

下地を生かした意匠表現や、カラークリアとの組み合わせなど、表現の幅は広い

一方で、黄変のリスクがあり、色のコントロールには注意が必要

原色系が多く使われてきた理由を、実体験として理解できた

クリア仕様は可能性がある反面、用途・条件を選ぶ塗装であるといえます。

結論

ちぢみ塗装は量産向きではないが、一点物・意匠加飾としては非常に有効。
特に「均一性」よりも「表情」や「個体差」を価値とする製品では、
他にはない差別化が可能な塗装方法だと感じました。

↓使用イメージ

 

最後に

今回の検証はあくまで現場レベルでの実験結果です。
再現性や量産性の保証はできませんが、
「こういった表現を試してみたい」「一点物として使えないか」といった
ご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

 

 

以上、現場からの、塗装レポートでした。

 

 

 

おまけ

塗装初心者(事務員)作 ちぢみ塗装(ムラがひどい・・・)

※やはり職人の腕が試される技術のいる塗装方法ですね


塗装のお問い合わせ